BARFOUT! 5月号 インタビュー企画より転載

BARFOUT!

 〈Koh Gen Do〉という名前は、多くの映画のクレジットで見たことがあった。以前、映画製作の知人からブランドの成り立ちについて聞いたことがあり、現ブランド・ディレクターの瀬戸口めぐみが歩んできた話が面白くて、「パワフルな人だなぁ」と興味津々。ずっと話が聞きたかった。
 瀬戸口は〈Koh Gen Do〉のブランド・ディレクターを務め商品開発をおこない、エステティシャンとして麻布本店のサロンに今も立っている。多くの女性の肌悩みの改善を手助けし、背中を押し続けている彼女は、会えばやっぱり底抜けに明るくポジティヴで、元気を与えてくれる人だった。でも、瀬戸口が受け継ぎ開拓してきた、平坦ではない美容の道について話を聞けば、とても堅実で、この人だからこそ続いてきた道なのだと思う。

「1989年、楽屋生まれ」と、自社リーフレットで紹介されている〈Koh Gen Do〉のモイスチャー・ファンデーション。長時間メイクをしたままでいることの多い役者業は、肌荒れを起こしやすい。当時、「美しい素肌を取り戻したい」と考えた女優の早乙女 愛(映画『愛と誠』でデビュー)が開発し、楽屋に置いていた基礎化粧品が〈Koh Gen Do〉の出発となった。ファンデーションの正体はスキンケアクリームに肌色を付けたもの。だから負担が少なく、より素肌感を出すことができる。早乙女の実妹である瀬戸口がその想いを継いでからも、理念はそのままに、様々なことに挑戦してきた。数々の軌跡を、瀬戸口は笑顔で話す。

「私自身、エステティシャンとして人の肌を触っているのに、20代の時はストレス性の肌荒れが酷くて。美容の仕事をやる資格なんかないと落ち込みましたが、『何をしたら肌が綺麗になるんだろう?』と、東洋医学や、表面だけでなく身体の中のことまで、手探りでいろんな勉強をしました。そうして考え方を変えたら不思議と肌荒れが落ちついて、精神的なダメージや思考のクセが肌にも影響するのだと、身を持って体験したんです。だから人によって肌の触り方も変えますし、商品に関しては、すごく自分の手の感性を信じているところがあって。ファンデーション1つにしても、肌に乗っているのか馴染んでいるのかでは、全然品質が変わります。商品開発の時は、私自身が付けたまま寝て、崩れ方と居心地がどうかを、何度も確認するんですよ。それは、研究のデータだけでは分からないから、サロンに立ち続けて人と肌と触れ合って感度を高め、自分で納得できるまで試すことが必要なんです。ビューティーって流行りもあるしそこを楽しむのもいいけど、私はシーズン毎に商品を変える商業的なやり方じゃなくて、1つの商品を生んだら全部ロングセラーに育てたい。子供と一緒なんですよね」