余 貴美子のBook Bar 「30」にまつわるエトセトラ

余 貴美子  よ きみこ 1956年、神奈川県出身。自由劇場、東京壱組を経て、映画・TV・CM・Naなど活動の場を広げる。08年、毎日映画コンクールにて田中絹代賞を受賞。また同年「おくりびと」、09年「ディア・ドクター」で、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を2年連続受賞するなど受賞歴多数。「はじめまして、愛しています」(テレビ朝日 木曜日・夜9時~)出演中。

vol.2 3は「可能性」の数字 -後編-

「3」という数字にはさまざまな魅力が秘められている、と語る余さん。三角形、三人トリオ、三択問題…世の中にはたくさんの「3」があります。余さんにとって印象深いものは、何ですか?

思い出深い「三人姉妹」の舞台で
3といえば、先日「三人姉妹」という舞台に立たせていただきました。チェーホフの作品なので、舞台はロシアです。ロシアの歴史や気候だとか、ロシア人の気質だとか、事前に調べられることはできる限り準備をして現場に臨みます。それでもわからないことが多くて、共演の役者さんたちと試行錯誤しながらお稽古を進めました。わからない、と試行錯誤することは、大変なところもありますが、職業柄避けられないのかもしれません。正解でも不正解でもない、もうひとつの答えを探していく…役者という仕事を通じて、探すという作業を一生続けていくのかな、という思いがあります。
思い込みを捨てると、発見がある
今まで知らなかったことがわかったり、新しいことに気づく瞬間があります。じっとしていてもなかなか新しいことに出会わないから、積極的に外に出かけたり、何かお稽古を始めたりすると新しい世界が広がります。テレビ番組で、電気も水道もない遠い海外の国で暮らしている日本人を追いかける、というバラエティがあります。面白くて、ときどき観ています。日本で当たり前だと思い込んでいたことが通用しない場所で暮らすのは、大変な反面、いろいろ気づくことも多いのでしょうね。気づくことで、新しいものを受け入れられるようになる。大切なことだと思います。