BARFOUT! 5月号 インタビュー企画より転載

 そして今年、安藤桃子は高知に劇場を作った。
「『0.5ミリ』公開時も、映画館のほぼない街に特設劇場を作って、マルシェをやって。映画文化を街に戻すことで、街の流れを変えたいという想いがあります。映画業界の傾向を見ると、もう既に大手の作品しか上映できない地方都市も沢山ある。これは日本の映画文化の危機です。低予算の作品と、何10億もかけた映画が同じレッドカーペットを歩けることも、映画の素晴らしさですよね。インディペンデントの監督としては制作するだけじゃなくって、映画文化の未来を考えて立ち上がるべきなんです。そんな時に高知で、『1年だけ空きテナントになる場所があるから、何かできない?』と相談を受けまして、『よっしゃ!』と期間限定で劇場を作ることにしました。ただ、映画館で映画を観る若者が激減しているので、劇場に足を運んでもらうまでのトラップを作らなきゃならない。劇場を中心に道ごとイベント会場にするような、街全体を巻き込んで『こと』を起こしたい。映画が総合芸術ならば、文化の中心に映画が戻ることで、発想は無限大に広がるはずです。文化は産業であることを高知で見せたい。手作りですが『わっしょい!』と決起しました」

 「私は作り手側なので、自分が信頼するものじゃないと広告などで関われない、ウソがつけない。〈江原道〉さんは、もちろん自分の映画でも使わせていただいていますし、元々両親が知っていて。私は肌が弱かったので、お化粧をしたい年頃になった時、母が教えてくれたんです。昔の化粧業界には、今みたいに肌に負担のない、自然な素材から作るという考えがほとんどなかったじゃないですか。今でこそ国内外でオーガニック・ブランドが色々とありますけど、これだけ長く理念を守り続けているということでも、〈江原道〉への信頼は絶対的です。例えば小説『星の王子様』みたいに、子供の頃、思春期、結婚後と、歳重ねる度に、心の反応する場所が変化する作品ってありますよね。〈江原道〉もそうで。若い時と肌の感覚は違うのに、出産を経て肌質が変化しても、ベースにある心地よさは変わらない。一本筋の通った哲学が『星の王子様』にも〈江原道〉にもある。作り手の信念がブレていないから、年齢によって感じる部分は違うけど、一生愛せる。それは〈江原道〉の魂を私たちが感じるからだと思うんですが、魂のあるもの作りは永遠に、人のこころに残りますよね。映画作りもそうで、自分という軸が確実に立っていないと、テーマに全部持っていかれちゃうから。そういうところが共通していると思います」

撮影 新津保建秀
ヘア&メイクアップ 山下小百合(3rd)
文 岡田麻美


J-WAVEにて安藤桃子さんラジオ  オンエア中