余 貴美子のBook Bar 「30」にまつわるエトセトラ

余 貴美子  よ きみこ 1956年、神奈川県出身。自由劇場、東京壱組を経て、映画・TV・CM・Naなど活動の場を広げる。08年、毎日映画コンクールにて田中絹代賞を受賞。また同年「おくりびと」、09年「ディア・ドクター」で、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を2年連続受賞するなど受賞歴多数。「はじめまして、愛しています」(テレビ朝日 木曜日・夜9時~)出演中。

vol.3 30年の継続も、はじまりは3日から -前編-

病気や事故など、よくないことが起こりやすいといわれる「厄年」。女性は30代に2度の厄年を迎えます。昔から伝わることだからそれなりに意味はあると思うものの、厄年をそれほど怖いものと感じずに過ごしてきたという余 貴美子さんに、女性の30代について思うことを語っていただきました。

ピンチは毎年やってくる、と思えば厄年は怖くない
私の人生を振り返るに、安泰のときは一度もありませんでした。これでよし、とか安定していた、ということが一度もないのです。いつだっていっぱいいっぱい。頑張るしかない、と毎日を過ごしてきました。 もしかしたら、それは俳優という仕事をしているからかもしれません。「半年後の舞台に向けて」、「30日間の公演をきちんと務めよう」と、常に区切りをつけて日々を過ごす習慣が身についているからです。節目があるから、頑張れます。ひとつの終わりを迎えると、また次の課題がやってきて、永遠に終わらないのですが、本当に終わるのは死ぬときだと思っています。 昔演じた役のセリフに「人間が終わるのは死ぬとき。死ぬから頑張れる」というのがありましたが、本当にその通りだと思います。
ハッピーな縁起は、かつぐようにしています
俳優は終わりのない仕事です。ひとつの役を演じ終えても、また次の役が待っています。その繰り返し。ただ、ひとつひとつ演じていくたびに、上手い・下手は別として、自分の中で演じられる人がどんどん増えていくわけです。役を通していろいろなことを勉強したり、新たな知識を吸収することで、知らなかった世界が増えていく。それはとても楽しいことです。 人のことはよくわからないから、もっと知りたい、理解したいと模索しながら日々演じています。その作業には「これで完成」ということはあり得なくて、だからこそ頑張れるのかな、と思うのです。