余 貴美子のBook Bar 「30」にまつわるエトセトラ

余 貴美子  よ きみこ 1956年、神奈川県出身。自由劇場、東京壱組を経て、映画・TV・CM・Naなど活動の場を広げる。08年、毎日映画コンクールにて田中絹代賞を受賞。また同年「おくりびと」、09年「ディア・ドクター」で、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を2年連続受賞するなど受賞歴多数。「はじめまして、愛しています」(テレビ朝日 木曜日・夜9時~)出演中。

vol.3 30年の継続も、はじまりは3日から -前編-

余さんの趣味は三味線。30年間、ずっと継続しているそうです。音楽は得意じゃないし、実は歌も苦手…と謙遜する余さんですが、音を奏でる時間はとても楽しく、飽きることがないといいます。

苦手なものも、続けていると好きになれる瞬間がある
何かを学ぶ、ということが好きで、今までにいくつかの習い事をしてきました。その中で、30年間続いているのが三味線のお稽古です。音感はないし、音痴だし…と、決して音楽が得意なわけではないのですが、三味線だけは飽きません。おだやかな歩みではあるけれど、続けているうちになんとなく形になっているのかな、と思っています。
最近は、お能も習い始めました。人に見せられるような技術はないのですが、自分のための修行だと思って取り組んでいます。苦手だからこそ、困難だからこそ、続けているとふと、好きになれる瞬間があるんです。すんなりいかないからこそ、頑張れるし、飽きずに続けられるのかもしれませんね。
音を奏でると、天候や季節の移ろいが身近に感じられる
三味線をはじめとした和楽器は、木や革、生糸といった天然の素材で作られています。だから、天候によって出る音が変わります。私のお師匠さんは弦の調子で「明日は雨だね」と天気を言い当てますし、鼓の奏者は演奏前に太鼓を火で炙ったり、逆に息で皮を湿らせたりと微調整します。音楽をすると、自ずと自然のことを考えるようになります。自然に逆らうのではなく、天候や季節に合わせて、こちらが調整していく…そういったことを学べるのも、お稽古の醍醐味です。

次回、後編は
3日坊主のススメ、についてです。